元外交官で、長年国連のお仕事もされてきた、現在SDGパートナーズCEOの田瀬和夫さんに、【関西学院同窓会公認団体・ソレイユの会】として、初めてのセミナーに登壇いただきました。
『ウェルビーイング実現世界に向けて~ジェンダーが果たす重要な役割~』をテーマに40分お話いただきました。豊富な経験に基づく高いストーリー性のある内容で、改めて、SDGsにおけるジェンダー平等の位置づけの重みが理解できる有意義な講演でした。
田瀬さんの講演後には、2022年10月にソレイユの会の第5回講演会「男女共同参画社会基本法の意義と今後~ジェンダー平等が流行語!~SDGs第5目標」に登壇いただきました名取はにわ日本社会事業大学理事長・認定NPO法人日本BPW連合会理事長(元内閣府男女共同参画局長)に今回は、『日本のジェンダー平等の現状』と題して、さらに深堀した内容を披露していただきました。
今回のイベントに参加いただいた皆様は、これまでの銀座オフィスでの講演会でお世話になりました
工藤稔大同生命保険株式会社会長(第3回講演会)、名取はにわ認定NPO法人日本BPW連合会理事長と佐藤道子理事(第5回講演会)、阿部信一ANA総合研究所顧問と木村勝丸の内キャンパス課長(ANAOGOB交流座談会)、大西義威神田俱楽部オーナーとソレイユの会役員・顧問・会員です。そして、亀岡剛同窓会会長にもご出席いただき、関西学院の現状のお話をお聞きしました。同窓会での活動は、母校への価値向上に寄与することと考え活動してきたソレイユの会ですが、現状を知り、今まで以上に、私たちの活動にご理解、応援いただける同窓生の輪を広げることの必要性を痛切に感じました。
1)公認団体・ソレイユの会 第一部:セミナー(知のキャリアアップのための勉強会)
『ウェルビーイング実現世界に向けて~ジェンダーが果たす重要な役割~』講演概要
SDGsの17のゴールに関しての説明後、これらを結びつける5つの要約ポイントについての解説がありました。
①Sustainability (持続可能性)・②Inclusion(包括性)・③In larger freedom(より大きな自由)
④Well-being(より良く生きること)⑤Generations(世代を越えて)
これらの要素がそれぞれに複雑に絡み合うことを、順に説明していただくことで、タイトルの「ウェルビーイング実現世界に向けて~ジェンダーが果たす重要な役割~」の意味がより良く伝わってきました。
①誰一人取り残さず②マイノリティが排除されず③より大きな自由(SDGsの前文にある文章)をどのような人も将来的に得る選択肢があり④よりよく生きるために主体的に時間を過ごし⑤次世代から借金をしないこと、世代を超えてすべての人がよりよく幸せに生きられる世界を目指すことが、SDGsに掲げられている。
SDGsの17のゴールがそれぞれに複雑に関係している中で、もし、一つ選ぶとしたらゴール5のジェンダー平等であると話されました。また、実は、すべてのゴール推進に足りていないものが、ゴール5であることなどから、例として、GGGI(Global Gender Gap Index)をあげて、男女の賃金差についても説明がありました。
また、日本の組織・文化において、ジェンダー平等・多様性・インクルージョンが実現するかどうかには、次の3つの要素があげられる。
①アンコンシャス・バイアスをなくす取り組み
②心理的安全性の確保
③エクイティ(公平)の考え方
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の概念は、社会構造の歪みを解消し、全ての人のウェルビーイングに貢献する重要な鍵と認識されている。企業活動においてもより一層の取り組みが加速している日本における女性の立場についても、人的資本論の説明後、その重要性が説かれました。具体的で、わかりやすい例をとりあげていただいたので、全体の理解が良く進みました。
【田瀬和夫さんプロフィール】
東京大学工学部卒。1992年外務省入省し、国連政策課、ニューヨーク大学法学院客員研究員、人権難民課、アフリカ二課、国連行政課、国連日本政府代表部一等書記官等を歴任。2001年より2年間、緒方貞子氏の補佐官として「人間の安全保障委員会」事務局に勤務。2005年に外務省を退職し、国際連合事務局・人間の安全保障ユニット課長に着任。2010年より3年間、パキスタンにて国連広報センター長を務める。2014年に国連を退職し、デロイトトーマツコンサルティングの執行役員および同社CSR・SDGs推進室長に就任。2017年に独立し、SDGパートナーズを設立。2019年には、実際に社会に持続的インパクトをもたらすべく、事業会社としてSDGインパクツを設立。2021年にはニューヨークのサステナブル・カフェ「Think Coffee」の日本誘致のためThink Coffee Japan株式会社を設立。内閣府男女共同参画推進連携会議有識者議員、9000人以上のメンバーを擁する「国連フォーラム」の共同代表理事を務める。
『日本のジェンダ―平等の現状』講演概要
15分ほどの短い時間であったため、GGGI(Global Gender Gap Index)の簡単な説明に加えて、昨今から今年の最新情報に至る変化について解説がありました。
GGGIは、世界経済フォーラム(WFE いわゆる「ダボス会議」主催団体)が、2006年から公開または提出された情報から客観的に4分野(経済・政治・健康・教育)についてのデータをウェイト付けして算出しているものである。日本のGGGIは、146ヶ国中、2024年は118位で、昨年の125位に比べ、少し順位をあげたものの先進国の中では、最下位である。
・各分野に見ても、教育は、一昨年(2022年)の1位から、昨年(2023年)47位、今年72位と順位を下げている。この理由は、1位の時には高等教育の状態を反映しなかったためであり、日本の女性は世界107位(146ヶ国中)の高等教育しか受けていない。下から数えた方が早いのである。
高等教育については、女子学生のSTEM(Science Technology Engineering and Mathematics分野における比率(薬学部は除く)が、OECD最下位と低いことが問題である。例えば、AIの開発者等技術分野に女性が少ないと、様々なアウトプットに男性技術者のジェンダーバイアスが入り込み、結果として、女性差別を助長する可能性が高まると指摘されている。
・政治分野では、議員や大臣の女性比率が低く、首相に女性を輩出したことがないことが、夫婦別氏選択制が世界で唯一実現しない日本につながっているのではないか。
・健康分野では、性差医学医療(性差に基づいた医療)の進展が進まないことが問題である。
・経済分野では、労働力不足が叫ばれる中、管理社員」の女性比率が低いこと、男女間賃金格差がOECDでワースト3位あるいは4位と非常に低いことが、GGGIの順位に表れている。GGGIについて、わかりやすく具体例を示して説明いただきました。
*(PDF「日本のジェンダー平等の現状」投影資料)
【名取はにわさんのプロフィール】
東京大学法学部卒業後、法務省入省。内閣総理大臣官房男女共同参画室長・内閣審議官、文部科学省生涯学習政策局主任社会教育官、内閣府大臣官房審議官、内閣府男女共同参画局長を経て、2006年退任。現在は、学校法人日本社会事業大学理事長・国立大学法人電気通信大学監事・内閣府男女共同参画推進連携会議議員・認定NPO法人日本BPW(Business Professional Women)連合会理事長。
2)公認団体・ソレイユの会 第二部:交流会(信頼のある繫がりの輪を広げる)
🌻公認団体・ソレイユの会のセミナー&交流会は、「働く世代を応援する会」として、平日の18時からのセミナー(勉強会)と、同じ場所での交流会にも時間をとって、(個々に繋がる場)を提供します。楽しい会話を盛り上げるのは、美味しい食事と適度なお酒。時代にあったノンアルコールも取り揃えています。今回の会場は、SDGパートナーズのレンタルスペースで、飲み物は、1階のthink coffee から、ケータリングは神田俱楽部から美味しい食事が届きました。
think coffeeの向かいのビルの神田倶楽部から運んでくださったケータリング、お食事の美味しさに会話も弾みます💕盛り付け・器も素敵でした💛
今回は、公認団体へのお祝いとして、神田倶楽部のシェフが、特別なケーキを作ってくださいました。
美味しいスペシャルケーキをthink coffee の美味しいコーヒーと一緒にいただきました💛
think coffeeと神田倶楽部がある神田錦町には、東京大学発祥の地、テレビ半沢直樹の舞台になった「学士会館」があります。
今回は、感謝交流会として、16名の参加者でしたが、皆様からは、交流会の充実も考えると、ちょうど良い人数で、そして素晴らしい講演会だったとのお言葉をいただきました。
🌻今後は、20名ほどのソレイユの会Meet Upを開催、会員が集う輪を広げていきます。
🌻全国、国際的に活躍する関西学院出身女性を応援する会として、母校愛を持って、ともに社会人メンターとして活動いただける会員を募っています。8月もソレイユの活動にご理解いただいた2000年法学部卒の女性が会員メンバーになってくださいました。
【お詫び】
現在、このHPは、トップのサイト表示に不具合が生じて、大変ご覧いただきにくくなっていますことをお詫び申し上げます。これまでのブログは、『ホーム>』をクリック、トップページから検索下さい。
なお、ソレイユHPは、リニューアルに向け作成中です。新しいホームページができるまで、ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。